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新型コロナと子どもたち (公衆衛生委員会主催セミナー)

03:24:00

Nov 21, 2021 12:08 PM

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Speakers

森内 浩幸
長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 小児科学分野
子どもにとっての COVID-19 SARS-CoV-2 感染症(以下、COVID-19)の犠牲者の殆どは高齢者で、国内で 10 歳 未満の死亡例はなく、重症化リスク因子を複数持ちワクチン未接種の 10 代後半 2 人の 死亡例があったのみで(2021 年 9 月 12 日時点)RS ウイルス感染症やインフルエンザ と比べると非常に軽症である。SARS-CoV-2 はエボラウイルスのように誰もが重症化す るウイルスではなく、子どもにとって基本的に風邪のウイルスに過ぎない。重症化する のはウイルスに強い病原性があるためではなく、宿主側の免疫応答が不適切であるため だ。高齢者の免疫系は新たな抗原に効果的に反応出来ず空回りして、炎症反応が遷延化 しやすい。これが COVID-19 重症例に見られる過剰炎症状態を引き起こしている。 もちろん重症化リスクのある子ども達にとっては要注意であり、周囲の大人達の感 染対策(含、ワクチン接種)に加えて、対象年齢であれば本人へのワクチン接種も考慮 すべきである。また日本では稀だが小児多系統炎症性症候群を見逃してはいけない。 感染力が拡大した変異株が出現し、既存株と置き換わる勢いで拡がっている。一部の 変異株はさらに免疫逃避も起こす(再感染しやすい、ワクチンの効果が減じる)ため、 厳重な注意が必要である。大人にも子どもにも感染力は拡大するため、これまでより小 児例は増えると思われるが、海外のデータを見る限り子どもの重症化は起こっておらず、 感染の主な流れ(大人から子どもへ)も変わっていない。 COVID-19 が子どもの身体に及ぼす影響は深刻なものではないのに、子ども達の生 活は大きく変化し、様々な制限が加えられた結果、発達が損なわれ学習の機会が奪われ ただけではなく、心の健康が様々な形で蝕まれている。学校や保育施設における感染対 策は過不足なく行い、真の意味で子どもの心と身体の健康を守ることができるように小 児科医は働きかけるべきである。
岡部 信彦
川崎市健康福祉局健康安全研究所
【講演要旨】 新型コロナウイルス感染が世界各地での流行(パンデミック)とな り、「感染症という病気」としてだけではなく「社会の病」として様々な問題点を人 間社会に突き付けている。その中でいちはやく「科学的・医学的予防策」として超高 速とも言ってよいほどの急速な進展を見せたのが、従来型の生ワクチン・不活化ワク チンといったものとは異なる、mRNA ワクチンあるいはウイルスベクターワクチンの登 場である。急速に導入されたものの、経験不足や流行している最中での多くの人々を 対象にしたワクチンということで戸惑いもあり、また実施にあたっての混乱が多いの も事実である一方、従来型の製造方法によるものも含み、さらなる研究開発も続けら れている。国内外で成人層を中心としてワクチン接種が進み、その優れた効果が明ら かになる一方、一定の副反応や稀な副反応の存在、効果の持続性など、新たな疾患と 新たなワクチンであるだけに新たな課題も出てきている。 国内においてもこれまでの主な接種対象は高齢者そして成人層であったが、小児に 対してどのようにするかは、12 歳以上への接種は承認されてはいるものの全体的な方 向性についてのコンセンサスは得られていない。また 12 歳未満に対しての使用は承認 が得られていない。本抄録提出時の 2021 年 10 月中旬現在、日本小児科学会では「12 歳以上の健康な子どもへのワクチン接種は意義があると考えているが、子どもへのワ クチン接種は、先行する成人への接種状況を踏まえて慎重に実施されることが望まし い」としている。本セミナーにおいては、抄録提出後の状況も含めて、子どもに対す る新型コロナワクチンについてまとめてみたい
峯 眞人
日本小児科医会 理事
当院では、2020 年春から感染症を中心とした受診患者数が大幅に減少する一方、コ ロナ禍で大きく変わってしまった日常の影響などから、心身に不調や変調をきたした子 どもや保護者からの相談や受診が目立っていた。このような子どもたちの受診状況は、 ・不定愁訴(だるい、頭が重い、眠れない、起きられない、食欲がない、ドキドキする、 めまい、立ち眩み、疲れやすい、ものが飲み込めない、腹痛、便秘気味、繰返す下痢、 ゲップが多い、なんとなく不安、学校に行けない・休みがちなど)による受診者の増加 ・肥満、痩せなどの摂食関連の相談での受診者の増加 ・無口・多弁、吃音、寝言などが気になる相談での受診者の増加 ・自閉症スペクトラム症、AD/HD など発達障害の児の症状悪化による相談の増加 ・家庭内暴力、リストカットなどの問題行動の相談の増加 ・今まで気にしていなかった症状(低身長、思春期早発症、夜尿等)での受診者の増加 などコロナ禍以前と比べ受診理由の変化は明らかであった。 前述の症状で当院を受診された子どもたちは、普段はとても明るく活発で、学習にも 遊びにも、部活やサークル活動などにもとても頑張っている子どもたちが大半で、どち らかというと頑張り屋さんのとてもいい子たちが多い印象が強かった。 子どもたちにとって今までは当たり前であった「遊びの場」「集いの場」「学びの場」 「自分たちで考え・動く場」などが次々となくなり、何とか工夫して動こうとしても、 さらにそれらも止められるなど、子どもたち自身の考える意欲の低下や、考え・行動し た結果を否定されることにより自己肯定感が低下するなど、多くの子どもたちとって辛 く閉塞的状況が続いたことがこのような結果を生み出したと考えられる。 日々メディアなどから流れてくるおびただしい量のコロナ情報の中で、我々小児科医 は感染症としての COVID19 が子どもたちに及ぼす影響だけに目を奪われず、小児におい てはるかに多い他の感染症や病気の診断・治療、さらには非日常が子ども自身や家族に 及ぼす多大な影響とリスクを十分認識したうえで、これらを少しでも減らしていくため に子どもの代弁者として、今までの小児医療者としての範疇を大きく超えて、「子どもの立場に立って、こどもを守るお医者さん」としての役割を果たす必要があろう。